「一般社団法人 湘南健康長寿研究会」の設立にあたって(ご挨拶)

 戦前の日本では人生50歳までと言われていました。戦後直ぐの1947年に日本の平均寿命は50歳を超えました。戦後の10年間程においては戦死が無くなり、社会が安定し、食料の輸入による確保と国内生産の増進とが栄養状態の良化をもたらしたことなどによって、日本の平均寿命は男女とも大きく上昇して1951年に60歳を超えました。日本の高度経済成長初期の1950年代後半から低経済成長ではあるが、精神的豊かさや生活の質の向上を重視するところの平和で自由な社会である成熟社会と言われる現在までの60年間程においては、日本の平均寿命は男女とも1959年に65歳超え、12年後の1971年に70歳超え、15年後の1986年に75歳超え、27年後の2013年に80歳超えというように緩やかではあるが、順調に上昇してきて、2017年現在では男性の平均寿命が81.09歳で世界第3位、女性の平均寿命が87.26歳で世界第2位となっています。

 

 もう一つ、2000年に世界保健機関WHOによって概念が提唱された健康寿命というものがあります。この提唱を踏まえて、日本では厚生労働省により健康寿命の概念は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。これらにより、日本人の多くが健康長寿に興味や関心を持つようになったのが10年程前からであり、健康長寿への取り組みはまだ始められたばかりであります。2014 年5月には、国民が健康な生活および長寿を享受することのできる社会すなわち「健康長寿社会」を形成するためにということで、健康・医療戦略推進法も制定されています。

 

 平均寿命と健康寿命の差は、寝たきりになって日常的に介護などが必要となる期間を意味しています。この差を縮めることができれば、それは個人生活の質を低下させないとともに、社会保障費の負担を軽減させることにつながります。近年2016年の日本の健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳、これと平均寿命との差は男性8.84歳、女性12.34歳となっています。日本人の高齢者の多くが人生末の10年間程を寝たきりで過ごしているということになります。人間は生きるために生まれたからには、健康長寿に生きていかなければなりません。健康長寿の延伸には、平均寿命をさらに延伸させるとともに、平均寿命と健康寿命との差を縮める施策を講じていく必要があります。

 

 日本の平均寿命と健康寿命とのこれまでの延伸における主因としては、医学・医療技術の高度な発展、国民皆保険や定期健康診断などの医療制度の充実、山・川・海と四季とによる豊かな自然と多様な山の幸・海の幸の恵みを有する最良の食住環境、学校教育の充実による健康に関する高い関心と知識、栄養のバランスが非常に優れていると言われる日本食を中心とする食生活と毎日入浴や清潔・衛生保全の生活様式、自家用車を使わないことによる通勤時の適度な歩行運動、日本人における優れた環境適応能力を伝える遺伝子の保持などおよびそれらの複合的な連関が論じられてきています。

 

 そこで、各主要因と健康長寿との関係を明らかにし、それらの成果の統合・総合化を図ることによって、健康長寿の延伸の施策を考究していくため、どなたでも参加頂ける「一般社団法人湘南健康長寿研究会」を設立することと致しました。また、本会は、国および地方公共団体、公益法人および他の特定非営利活動法人、保険・医療・スポーツ・福祉機関、教育・研究機関、種々の学術団体および任意団体等と連携・協力し、藤沢市を中心とする湘南地域の皆様の健康の維持・増進および生活の質の向上を図るための諸々の事業を行って、皆様における幸福で充実した日常生活の常在と健康長寿の延伸に寄与して参りたいというものでもあります。

 

 「一般社団法人湘南健康長寿研究会」の設立の趣旨にご理解、ご賛同の上、本会へのご入会をお願い致します。

 

一般社団法人 湘南健康長寿研究会

代表理事 河 野 英 一

平成30年7月27日